こまちぷらすでは、毎月1回、店舗を閉めてスタッフミーティングを行っていますが、ワークシェアをしていたり事業部によって活動する場所が異なったりと、スタッフ同士でじっくりと話す機会が少ないのが現状です。そこで、普段は顔を合わせることの少ないスタッフがペアになってスイッチインタビューを行いました。
第2回目となる今回は、「こよりどうカフェキッチン」の四ツ柳と「こまちカフェキッチン」の加藤のペアです。二人ともそれぞれのカフェでランチを美味しく提供するために、様々な工夫を重ねているという共通点があります。
話のきっかけとして、こまちぷらすに関わるようになった理由から話してもらいました。
こまちぷらすに関わるようになったのは…
加藤)代表の森さんの上のお子さんとうちの一人息子が同い年で、0歳児の赤ちゃん教室の時に知り合いました。森さんがこまちぷらすを立ち上げて、東戸塚にあった助産院で週1回場所を借りてカフェをやっていた時期があり、家からも近かったのでランチを作る形で関わるようになったのがきっかけです。息子が年長の時だったと思います。こまちぷらすとはかれこれ10年以上のお付き合いになりますね。
四ツ柳)私は、こまちぷらすに入る前に働いていた地区センターで、ある日ふと手に取ったチラシで祐美子さんの写真を見たことがきっかけです。チラシに書いてあった内容は全く見ていなかったんですけれど、「素敵な人だな」っていう印象を持ったんです。ネットで「森祐美子」って検索して1番最初にヒットしたnoteにとても惹かれて、ずっと読んでいたんです。「こまちぷらすをやっている方」ということがわかり、「こまちぷらす」で検索したら、パートナー登録会をやっていることを知って、パートナー登録をして、今はキッチンスタッフになったということです。
加藤)それはいつくらいの話ですか?
四ツ柳)こよりどうカフェがオープンした年だから…一昨年の9月30日です。パートナー登録会に参加しました。
加藤)日付まで覚えているんだね。
四ツ柳)覚えてるんです。すごく印象的な日でした。「何ここ?」って思ったし、「なんか変なところだな」、「なんか不思議な空間だな」というのを感じたんです。その時にこよりどうカフェのスタッフ募集の期間と偶然かぶっていたんです。そこでスタッフに応募して、でも仕事の内容を聞いたらスタッフは難しそうだなと思って、パートナーからスタートしました。
加藤)ほんとに何がきっかけになるかわからないね。
四ツ柳)本当にそう思います。こまちカフェのような場は探していたのに見つけられなかったんです。「アレルギー」「子ども」「子連れランチ」等のキーワードで検索していた10年程前は見つけられず、当時は行く場所がなかった。
加藤)そのお子さんは今、小学校高学年ぐらい?
四ツ柳)そのアレルギーの子が一番上で、小学 5 年生で 11 歳なんです。
加藤)ちょうどこまちカフェが今のところに移ったぐらいの時期だね。ひとつ前の店舗の時はまだアレルギー対応をしていなかったので。私が一時期抜けていた時に、卵・乳製品・小麦を使わないメニューを提供していこうという方針ができたようで、栄養士だったスタッフが色々と考えてくれました。今も看板メニューのこまちカフェの「ブラウニー」はそのスタッフの発案でずっと提供しています。はじめて原材料を聞いた時、「なんだそれ?」って衝撃を受けました!
私自身が7~8年程前に、エビのアレルギーを発症したんです。エビの殻を処理していたら右手が腫れ上がった時があったの。その時アレルギーの怖さを初めて体感して、アレルギー対応の食事って本当に大事だなって実感しました。
長くこまちぷらすと関わっていて感じることは…
四ツ柳)ところで、たまよさんは、こまちぷらすに長くいるということで、どんどん変わっていくメニューや実務的なことを含めて、もっと外枠的な大きなことの変化なども見て来られたと思います。貴重な機会なのでその辺りの話を聞きたいです。
私自身は、こよりどうカフェが忙しくて、とにかく毎日一生懸命過ごして 1 年半、全然こまちカフェのことを分かっていないと思うんです。こよりどうカフェができて明確に変わったことはありますか?
加藤)うーん、私の中ではそんなに変わったっていう感じはなくて。こまちカフェも最初はアレルギー対応は全く考えていなかったところから少しずつ変わってきたので、それに伴って自分自身も考えて来た感じがします。例えば、メニュー開発の時にピーナッツとアーモンドがどう違うのかを自分でも調べたり。私自身は栄養関係の学校は出ていないけれど、やっていくうちに「こういう代替手段があるんだな」ということを、知識としてどんどん蓄えてきました。そんな流れの中で、こよりどうカフェが「ポッ」と生まれた感じがあるんです。だから、こよりどうカフェができたから、こまちカフェが変わったっていうのは、私は全く感じてないです。
四ツ柳)そうなんですね。
加藤)ちょっと言い方はおかしいかもしれないけど、こまちカフェの『クローン』ができたって感じがしてる。こまちカフェとこよりどうカフェは、メニューの出し方ひとつとっても、ちょっと違う部分もあるでしょ?でも、根底にある「アレルギー対応」っていうところでは一緒っていうのがあるよね。
四ツ柳)私としては、その表現はなんか嬉しいかも。全く一緒ではないけど、大事なところを引き継いで、「ポッ」と増えていくみたいなのはすごくいいですね。
加藤)そう。急に現れた双子の片割れみたいな感じがするんだよ。
四ツ柳)なんで嬉しいかっていうと、なんか愛着を持ってくれてるんじゃないかっていう気がするから。別物っていう風に感じていたら、ちょっと悲しいなって思っていたから、その表現は嬉しいですね、やっぱり。
加藤)こよりどうカフェには2~3回ご飯を食べに行っただけなんだけど、すっごく美味しくて、すずちゃんのアイデアはいつもすごいなって思っている。なんでこんなにアイディアが出てくるの?って。一方でずっとこまちカフェでやってきた立場として、こよりどうカフェで今やってるものを外から割って入るようなことはしたくないなって、思っていて。いい意味でね。こよりどうカフェはこよりどうカフェの色でやってほしいから。だから、私はこまちカフェからこよりどうカフェをずっと見ているよ!っていう感じかなぁ。
四ツ柳)こまちカフェの方って、皆さんそんな感じですよね。約束事としてそういうふうに振る舞おうってしているわけではなくて、元からそういう気持ちでいてくれている感じなんですか?
加藤)それぞれのスタッフの考え方であって、こまちカフェのスタッフが「こよりどうカフェのスタイルを崩しちゃいけないよね」って示し合わせたわけではないです。もちろんこまちぷらすの理念は土台にあるけれど、こよりどうカフェ独自のメニューやコンセプトがあることは良いと思っているスタッフが多いのかな。こまちカフェのコピーをしなくていいんじゃないかっていう気がする。
四ツ柳)今の話でいう、こまちぷらすの根底は一緒という具体的なものって、たまよさんの中にはあるんですか。
加藤)こまちぷらすは「子育てをするのにそれぞれの家族だけじゃなく、街のみんなを巻き込んじゃっていい」っていうことから始まってるよね。だから、こまちぷらすでもこよりどうカフェでも、見守りスタッフさんがいたり、子育て中じゃない人でもウェルカムだよっていうところは一緒だよね。
四ツ柳)スローガンっていうか、ビジョンみたいなものですね。それは結構大きいと思うんですけど、もうちょっと具体的に何かありますか?なんでこまちぷらすってこうなんだろう?っていう言葉にしづらい特別な空気感っていうか、スタッフの振る舞い方なのかな…そういうのすごく感じるんです。「こまちぷらすらしさ」の形容詞的な「こまちい」みたいなのがあって、笑、どうしてかなーって思うことが多いんです。
加藤)難しいね、それなんだろうね…。
四ツ柳)難しいですよね。私もなんだろうって思って、たまよさんに聞いています(笑)育まれた空気感みたいのが 12 年間あるわけじゃないですか。その育まれたものに魅力を感じてる人がたくさんいて、それを作ってきたのはたまさんや最初の頃からいる人たちだったりするわけですよね。でも、ご本人たちが全然気がついてないみたいなのがすごい不思議です。わからないし気が付かないのかもしれないけど、この魅力って何なのかなーって思うんですよね。
加藤)当然って言い方も変だけど、なんかナチュラルになっちゃってるよね。いい意味で、慣れてしまった感じ。
四ツ柳)それって何なんですかね。すごいですよね。何なんだろう。
加藤)スタッフがその個々のいろいろな能力…料理もそうだし、コミュニケーション能力だったり、事務をやっているのが好き、計算が好きとか、文章を書くのが好きとか、そういうメンバーが集まってきてるんだよね。昔すごいことをやってきたスタッフたちがこまちぷらすに集まったら、どんどん雪だるま式になったのかな。
四ツ柳)たまたま能力がある人が集まってきたみたいなことをおっしゃっていたんだけど、そうでもない気がして。こまちぷらすに行ったら、その人が元々持っている発揮すべき力みたいなものが発揮されやすい環境なのかな、という感じはするんですよ。
加藤)なんかうまく引き出される感じかな?
四ツ柳)そう。なんかそういう感じはするんだけど、それがテクニックなのか、あの空気感やムードからなのか、ちょっとわかんないんですけど。その置かれた場所に、何ですかね、育む力みたいな、もう開花するために必要なお日様みたいな何かがあるんですよね。
加藤)ムードね。なんか心許せるんだろうね、きっとね。
四ツ柳)本当ですね。そういえば雪だるまの話で思い出したんですけど、私、こまちぷらすのイメージが「ハウルの動く城」なんです。いろんな景色の中を、わけのわからないものがいろいろベタベタにくっついて変な動きしてる…。そんな感じのイメージを持っていて、こまちぷらすってああいうふうに大きくなってくんだろうなーって。なんか行き先が謎じゃないですか。笑
加藤)なるほどね、例えがうまいね。
自分にとってのこまちぷらすと「理念」
加藤)確かにこまちぷらすも、前に進むだけじゃない気もする。たまに立ち止まったりもしていたことも過去にあったから。私も一時期抜けていた時があったんだけどね。
四ツ柳)そうなんですね。でも何で戻ってきたんですか?
加藤)離れてみたらなんか寂しくなっちゃったんだよね。夫が単身赴任で週末しか帰ってこない時期に育児ノイローゼにかかったことがあって、ちょうどこまちぷらすから声をかけてもらった時だったの。いわゆるワンオペの時だったから。外との繋がりって、ほんのちょっとの薄細い糸でもいいから、保っとくべきだって感じたのね。
四ツ柳)こまちぷらすが掲げるコンセプトややろうとしていることに関わる中ですごく体感する瞬間っていうか…共感する瞬間みたいのが、たまよさんの中に何回かあったような感じがしますね。
加藤)まさにそう。単純に寂しくなっちゃったという理由で「戻りたい」ってどうなの?という不安があったのね。でも思い切って自分の気持ちを伝えてみたら受け入れてもらえて、今の店舗に移るタイミングで戻ってこれることになったの。
四ツ柳)離れたことで繋がり…居場所ですよね、そういうのを体感したんですね。
加藤)居場所を求めているママさんパパさんたちとちょうど同じ気持ちだったんだよねって思います。離れちゃって、寂しいなぁって。
四ツ柳)スタッフの皆さん自身も実感しているのかもしれないですね。共感してるっていうか、こまちぷらすのやろうとしてること、作ろうとしている世界を、スタッフの皆さん腑に落ちてるっていうことですよね。アレルギーの話にも通じるところがありますね。全てのことに対してというのは難しいかもしれないけれど、腑に落ちていることが複数あれば、共感しづらいことに関しても理解しようと思えることにつながると思うんです。
だから、今聞いていて、つくろうとしている世界が腑に落ちてる人がこまちぷらすに集まってるのかなって。やろうとしていることに、スタッフみんな心の底からそうしたいって思ってるんでしょうね。
たまよさんはお子さんが小さい時から関わっていらして今高校生で、自分の暮らしのフェーズみたいのもどんどん変わっていくじゃないですか。そういうスタッフがこまちにはいっぱいいるから、どんどん変わっていくんでしょうね。だから、いろんな世代の子供を育てるママがやっぱりいた方がいいとは思うし、育てが終わった人がやっぱりいた方がいいと思います。そう思うと、10年やってきてすごいですね。一番最初のスタートの時は、やっぱり子育てがメインで、自分たちがいろんなフェーズに出会う。暮らしていく中でフェーズが変わっていって、目の当たりにして体感する経験みたいのが増えてこそ、どんどんコンテンツが増えていく、そういうふうになっていくんだろうなって。
加藤)ずっといる私だから言える話なんだけど、未だにこまちカフェは子育てしているパパママしか入れないのって、お客さんから言われることがあります。一人で入っても大丈夫ですかって。お一人の方や大人だけのグループ、男性の方もいらっしゃるようになったけれど、「こまちカフェ=子育てしている世代の方に優しい」というイメージで見られちゃっていることはあるように感じます。
四ツ柳)それで言うと、私、一つ勘違いから始まってるんですけど、こうしたらいいんじゃないかって思ってることがあるんですよ。こまちぷらすのスローガンって、「子育てがまちの力で豊かになる」ですよね。最初「子育てでまちの力が豊かになる」だと思ってたんですよ。だから「子育て『が』…」じゃなくて、「子育て『で』まち『が』豊かになる」の方がこまちでハッピーになる人が増えるなと思って。子育て『が』っていうと子育て中の方が助けてもらうみたいな構造だから。だからあのスローガンの『が』と『で』を入れ替えてみたらどうかなって思う。子育てがあって、豊かになるのはまちの方かも。
私、子育てでまちの力って豊かになると思うんです。楽しいじゃないですか、まちに子どもがいるって。高校野球とかもそうだと思うんですけど、子供が頑張ってるとか、元気でいて、声がするのってそれだけで街を元気にするから。
加藤)理事長に本人からの提言、どうですか?ずっといるスタッフの若干凝り固まり始めている脳みそを、新しいスタッフがいい意味でぶっ壊してくれるっていいんじゃない?
四ツ柳)そうですか?!(笑)
おまけ~マフィンが生まれた背景
加藤)こまちカフェとこよりどうカフェ、同じことをやる必要は全くないと思っている、というのはさっき話した通りなんですが、せっかく同じキッチン同士なので、すずちゃんとは一緒に何か作りたいな。マフィンはどうやって開発してんだろうな、レシピはどうだろうなって気になってるんです。
四ツ柳)実はマフィンには開発エピソードがあります。こよりどうカフェに入ったときに、「パン屋で働いてた」って伝えていたから、多分ケーキも作れるって思われていたんです。でも、米粉のケーキは焼いたこともなくて、一緒にシフト入りしていたスタッフに本を借りて、型の容量に合わせてレシピを改変して作ってみたんです。なぜか米粉のケーキをちゃんと焼けるようにならないと働かせてもらえなくなると思い込んだんです(笑)。たくさん練習するのに、マフィンってすごくいいサイズなんです。ケーキ 1 台を何回も焼くと食べきれないけど、マフィンだと、例えば米粉 100 グラムでちょっと試行錯誤するにはちょうどいい量。 出来上がりが4 個ぐらいなので、 5人家族の我が家ならなんとか食べてもらえる。マフィンで米粉のケーキを何度も練習した結果、マフィンのレシピができたんですよ♪私もたまよさんと一緒にやってみたいです。