認定NPO法人こまちぷらす(神奈川県横浜市戸塚区)は、2012年に立ち上げた団体でスタッフ約45人、登録ボランティア(こまちパートナー)の方約310人(2024年4月現在)の皆さんと一緒に「子育てをまちで、プラスに」を合言葉に社会全体で豊かな子育てをができる社会を目指して活動をしている団体です。
ママ数人で任意団体を立ち上げるところから始まり、横浜市戸塚区(人口約27万人)でカフェ型の居場所こまちカフェとこよりどうカフェを2つ直営しながら今は日本全国にこうした場をつくりたいという方にノウハウをお伝えする活動をしています。この数年米国(ボストン)、オーストリア(ザルツブルグ)にも足を運び、オーストリアではインドの方々と1週間対話をし、世界各地(特に都市部)で共通する『子育ての孤立』の課題に対して「カフェ」を通したつながり再構築の可能性を確認してきました。また、日本の中だけで課題を捉えて既存の仕組みありきで考えるのではなく日本内外のアプローチを知り小さく実践をトライアンドエラーを通して試していくことの重要性も感じてきました。
また、ヤマト運輸神奈川主管支店と立ち上げたウェルカムベビープロジェクトではまちから産前産後家庭に出産祝いをお渡ししその過程で「赤ちゃんウェルカム!」な風土をつくっていくプロジェクトは全国4カ所に広がり、7年間(2016年度~2022年度末まで)4地域で計6171の家庭にお渡しができました。https://welcomebabyjapan.jp/
なぜこまちぷらすは挑戦を続けるのか
孤立した子育て環境を次の世代に引き継ぎたくないという想いからはじめた活動ですが、10年続ける中で孤独・孤立感が生まれる構造には「関係性」「経験の無効化」「自己否定」という複雑な要因が絡んでいること、また、多くの街の人は何かしら応援したいと思っているけれどもその関わり方や関わるきっかけがないだけだということも分かってきました。調査結果はこちら
2023年
2023年度は、terabaruの開始、お惣菜を保育園に届ける事業の開始(詳細こちら)、書籍発行(早稲田大学石田光規教授編著こまちぷらす3章執筆 詳細こちら)に加えて、カフェ型居場所をつくりたい人たちと応援団を日本各地でつなげていく活動を皆さんからのクラファン応援を原資に岡山からスタートするということもできました。(詳細はこちら)
少子化/共働き世帯の増加/オンラインコミュニティーやオンラインでの選択肢増/進んでしまった孤立化や逆に増えた社会参加や居場所づくりへの関心等コロナ禍を経た様々な時代の変化を捉えアップデートしていく必要性があります。(子育て世帯向けの日中の居場所は変化を迎えると思っています)
同時に変わらず必要なこともたくさんあり、不登校ひきこもりの子どもたちがいる保護者の集まり、発達について安心して話せる場、子育てと介護を同時に抱えたときやその前に情報を知れる場等、ライフステージや家族の変化や何か自分にとって経験したことがないことが目の前に現れた時に一人で抱えない場づくりは丁寧に変わらずやっていく必要があります。
変わること変わらないこと、そこを見極めながら進む日々でした。常に今ないものに向けたチャレンジをしているので最初からうまくいくことなどはほぼありませんでした。
失敗もたくさんありましたし、補助金で運営をしていないので経営を継続していく難しさも痛く痛く痛感した1年でした。リーダー育成等にも取り組みこまちらしいチームをつくっていくためには今何ができるのか、逆に何に対して違和感を持ち時には伝えないといけないのか、考え模索した1年でもありました。支えてくださった寄付者の皆さんやたくさんの地域の皆さんには感謝しかありません。
2024年度
■変わらぬ場を毎日つくりつづける
ThinkGloballyActLocallyを大切に、これからもこの戸塚で人のあたたかさを感じる場を関わってくださる皆さんと一緒にこの地元でつくり続けます。場には毎日違う方がきて、スタッフも毎日いろんな組み合わせでいますし、いろんなこまちパートナーの方々もいます。なので、毎日違う場になります。ここにくるとただただほっとする、あたたかい気持ちになる、何かやってみたいと思えるようになる、一人じゃないんだなと思う、と、毎日変わる自分にこの場で出会い直すそんなことが安心してできる場でありたいと思います。こうした変わらぬあたたかい場をつくりつづけるのは派手さに欠けますが最も大事なことだと思っています。各部門「参加」という原点をもう一度見直し、体制をつくっていく面白い1年になりそうです。そこを続けられるチームづくりに力を入れる1年になります。
■NPO事務/カフェ事務をテクノロジーの力も借りて強化
ワークシェアをしている組織ならではのマネジメントの難しさにもチャレンジする1年にします。事務のフロー、情報共有の質を高めつつ時間は減らせるよう、最新のITシステムを導入し、昨年度から試験的な模索をはじめました。AIも活用し、人と人でしかできないことは何かにフォーカスをしていきます。NPOやカフェにおける事務体制体制整備は常に課題として聞いているので、そこに貢献できることを念頭に着手します。どんな家族のケアやチャレンジがあってもこうした場で「働く」ということが多くの人にとっての選択肢となれるよう本格チャレンジのスタートの年になります。
■子育てとまちをつなげる接点のりしろ充実
産前産後直後に情報とまちからのウェルカムを届ける「ウェルカムベビープロジェクト」、産後のおしゃべり会や立ち寄れるカフェの場、昨年度立ち上げたterabaru/お惣菜保育園コラボ事業等働く世帯へのアウトリーチ的事業、障害/不登校ひきこもり等学齢期に向けての親がほっとできる場、ただい間のおうち等学齢期の居場所。こうした産前からいろんなステージでつながっていく場が揃ってきました。地域の拠点の皆さんのおかげでご年配の方々がそこに関わり1000の背守りを年間縫ってくださっていたり、小学校の個別支援級や高校との連携や商店会の皆さんとの連携も増えてきました。こうした各事業で出会った方々がここを接点にまちのいろんな団体や活動にもつながるよう、私たち自身のアンテナを高くしていきたいと思います。
特に新規事業を軌道に乗せ内容充実・拡充する1年にもしていきます。必要な人に届くよう、どんな内容にしたらよい?どう広報したらよい?等是非いろんな方にお知恵をいただきたいです!
■全国に心地よい関りが生まれる居場所展開(地域・お寺・海外)
場が社会全体でつくりやすくなるように、各地にいる「カフェ型の居場所をつくりたい!」という人たちとの学び合いの場の展開も地域を増やします。既に終了した岡山県・4月から始まる長野県に続く地域を今探しています。その土地でパートナーシップを組める方がいて、カフェをつくりたいと思っている方々が複数名いらっしゃることを既にご存知で、予算も助成金含めて工面できるかも!?もしくはそこから相談したい!ということがあれば是非ご連絡ください。
キーとなるお寺について。
善了寺様に場を貸していただき運営できているこよりどうカフェから、お寺との協働の可能性もたくさん感じています。これもお寺のご住職坊守様のおかげです。コンビニの数以上にあると言われている全国各地のお寺とカフェのその掛け算も多くの方と引き続き意見交換し広げていきます。
もう一つキーとなる海外について。
今年も海外からの視察も既に決まっています。海外からもこうしたカフェ型の居場所について、「日本的アプローチ」と関心をもっていただいています。子育て/居場所/NPOの海外からの情報は「今の当たり前」に捉われず考える出発点に時にはなります。先方の予定が許す限りここに住んでいる方々と会って対話する場面をつくって、普段問われない「問い」を考えるきっかけとし、その発見について発信をできる拠点であり続けます。いづれは海外でもhaco+巡回展をしたり、各国各地にあるカフェ型居場所とつないでそこにそれぞれ埋もれている「声なき声」を互いに聞き合い、対話ができることを夢見ています。スタッフも実際に一緒に見聞きできるような海外研修に連れていきたい。再来週もそこに向けての次の種まきのため、福岡に1週間いってきます。夢は遠くまだかすんで見えますが、一歩一歩を大切に前に進んでいきます。これからも私たちのチャレンジを応援してください。