毎日の活動とアカデミアな視点

昨日は、早稲田大学の石田光規教授をお招きし、「子育てにおける孤立と居場所についての研究結果発表会」をCRファクトリーさんと共に開催しました。
活動の根拠となるデータこそあれど、‟何となく”良いことをやっているような感覚を信じて進めてきた私たちの活動自体は、果たして社会的に本当に価値のあるものなのか、「こまちカフェ」のような場をスタッフ皆で一生懸命守り創っていることが、本当に社会にプラスの効果をもたらしているのか、それを可視化したくて始まった調査研究。昨年度の設計開始から一年余、ようやく分析検証していただいた結果をご講演いただける日を迎え、始まる前から高揚感を覚えていました。

学界に立場を置く先生から、完全に第三者の立場で研究対象として「こまちぷらす」を分析検証して語って頂けたことがとても貴重だったことは言うまでもありませんが、私たちの表現しきれていなかった“何となく”の部分をはっきりと、現代日本社会の中での文脈に基づいて定量的・定性的に表現いただいたことで、私自身の思考も整理されて、日々取り組んでいることの意味が心に落ちていくような感覚でした。
例えば、変数効果を統制して変数独自の効果を見た時、「育児の相談先の多い人」の孤独感が低いのと同様に、「こまちぷらすへの参画のある方」のそれも低いことが分かりました。また、聞き取り調査にご協力くださったパートナーさんが、こまちカフェを拠り所の一つとして生活の一部としてくださっていることも分かりました。

「豊かな子育て」が実現するためには、子育て当事者の意識・それぞれの方の置かれた状況・取り巻く社会の環境が複雑に絡み合っており、都合の良い側面だけを見て「正しさ」を求めていくことは時として危ぶまれることであり、万人にとって適う「場」ではないということも自覚の及ぶところです。しかし同時に、それでも私たちの創る「場」の要素が、オリジナルの部分と普遍的な部分とに分類されながら、社会的になぜ一定の価値を持って存在し得ているのか、俯瞰できた時間でした。石田先生には感謝に堪えません。

講演内容の詳細は、後日ご同席いただいたライターさんが記事に起こしてくださる予定です。乞うご期待。