【見守りさんインタビュー】言葉が通じない分、ニコッと笑ってくれるとものすごく嬉しい。

ー生まれ育ったまちで見つけた「もう一つの居場所」

定年退職後、社会との繋がりを失いかけた時にこまちカフェと出会った新美さん。現在は「見守りボランティア」として、お母さんたちが一息つける時間を作っています。ご自身にとってのこの場所の存在、そして活動への想いを伺いました。

【プロフィール】 新美 宜典(しんみ よしのり)さん
戸塚在住歴50年以上。定年退職後、2022年より「こまちカフェ」の見守りボランティアとして活動。現在は週に2〜3回、子どもたちの安全を見守りながら活動している。


下町情緒が残る大好きな戸塚の街で、定年後に訪れた予想外の空白

― 新美さんは、戸塚ご出身で50年以上もお住まいなんですね。

新美:そうですね、大阪にいた11年間を除いて、生まれてからほぼずっと戸塚です。昔の西口の商店街なんかは今よりずっと下町っぽくてね。お肉屋さん、八百屋さん、果物屋さん、懐かしい中華料理屋なんかが並んでいて、小さい頃から知っている大好きな街です。

― そんな愛着のある街で、定年退職を迎えられて生活に変化があったのでしょうか。

新美:60歳で定年になって、延長で63歳まで働いたんですけど、辞めた後はやることが全然なくて。僕は一人暮らしだし、現役の頃はスポーツ取材の記者をやっていて趣味があんまりなかったんですよ。だから辞めた途端に「つまんない人生送ってきたな」って困ってしまって。

うつではないけれど「このままでいいのかな」とメンタル的にも落ち込みそうになって、自分なりに結構必死でした。とにかく社会とつながっていないとまずいなと思って、戸塚区のボランティアセンターに駆け込んだんです。

先輩から受け継いだ「お母さんに両手で食事を」の精神

―― そこでこまちカフェの「見守りボランティア」に出会ったのですね。2022年11月というと、ちょうど「こよりどうカフェ」ができた頃でしょうか。

新美:そうです。登録会に行ったらほとんど女性ばかりで、男性は僕を含めて2人だけ。最初は「大丈夫かな」と思いました。

でも、研修に行ったら、関さんという男性の大先輩がいてね。こまちの立ち上げから10年くらい見守りをやっている方に色々と教えてもらったんです。「アスレチックの上にお子さんが上がった時は、落ちてきたら危ないから必ず下で見ててね。自分がいれば、もし落ちてきても怪我は少なくて済むから」って。その言葉は今でもよく覚えています。

―― ボランティアの精神が、大先輩から新美さんへと受け継がれたんですね。

新美:あとは、「お母さんたちがご飯を両手で食べられるように」っていうのが一番大きな役割だよ、と教えてもらいました。普段のお母さんたちって、なかなか両手でゆっくりご飯を食べたりお茶を飲んだりできないですから。
そのために、カフェの見守りでは、食事中に赤ちゃんを抱っこさせてもらうんです。でも、抱っこさせてもらうタイミングを見計らうのは、なかなか難しいんですよね。「今言っていいのかな」とか、一人の子を抱っこすると別の子も抱っこしなきゃいけないかなとか、つまんないこといろいろ考えちゃうんですよ。だから、お母さんの方から「抱っこしてもらえますか」って声かけてくれる時は、逆に助かりますし、すごく嬉しいですね。

―― 声をかけていいんですね(笑)実は、わたしが利用した時にも、どうお願いしたらいいかなって最初は迷ったんですが、気づいたら自然に娘と遊んでいてくださっていて。おかげで、あったかいご飯が食べられてありがたかったです。

新美:皆さん気を遣ってくださるんですよね。完璧にはできないけれど、とにかく目の前で怪我だけはさせちゃいけないなと、いつも細心の注意を払って心がけています。

「新美さんのシフトはいつですか?」と聞いてもらえる喜び

―― 実際に活動を続けられて、新美さんご自身にはどんな変化がありましたか?

新美:実は、もともと子どもと関わることが好きだったわけでもないんですよ。自分の娘は本当に可愛かったけれど、他人の子どもって別に可愛いと思わなかった(笑)。

だけど、ここで1歳くらいのお子さんを相手にしていると、言葉が通じない分、ニコッと笑ってくれた時にものすごく嬉しい気がするんですよね。自分のやっていることが受け入れられた感じがして、お子さんに癒やされる。それは新しい発見でした。

―― カフェのお客さんからも「新美さんのシフトはいつですか?」って問い合わせがあるとお聞きしました。

新美:僕の顔を覚えてくれるお子さんも結構いてね。名前を知ってくれている人がこの街に増える、ここでボランティアをやっていて感謝されるっていうのは、人間として素直に嬉しいことだなと思います。

僕も現役時代は仕事ばかりにかまけて、子育てをサボってきた人間なんです。だからこそ、お母さんたちがゆっくりできるこういうお店が日本全国に広がったら、少子化の改善にもつながるんじゃないかと思うくらい、こまちの先進性や大事さを感じています。

人生に居場所がもう一つあるということ

―― 今、こまちぷらすはクラウドファンディングに挑戦しています。最後に、新美さんのように地域で一歩を踏み出そうか迷っている方へメッセージをお願いします。

新美:無償で何かをやるっていうことがそんなに偉いことだとは僕は思っていなくて、むしろ、こまちのボランティアで僕の人生が豊かになっているような感覚です。

だから、迷っている人がいたら「お子さんと会うのは楽しいことだよ、やってみても全然損はないですよ」と言いたいですね。

ここは、家へ帰るみたいな……と言うとちょっと言い過ぎかもしれないけれど(笑)、僕の顔をみんなが覚えてくれている、大切な「居場所」です。ありがたいことですね、人生に居場所がもう一つあるというのは。

【編集後記】
新美さんが語る「居場所がもう一つある喜び」それは、支えられる側だけでなく、支える側にとっても生きる活力になるのだと教えていただきました。サムネイルの写真、実は、新美さんと遊んでもらった2歳の娘です。こまちカフェから帰ったあと「今日、遊んでくれたおじさんと、にじ、いっしょにしたのー!よるになったらおほしさまとおつきさまがでてくるんだよ、っておしえてくれたんだ」と言っていました。親子とも見守りさんのおかげでゆっくり過ごせました。あたたかなお互いさまのあるこの場所を、皆様と一緒に応援していけたらと願っています。
(インタビュアー:鳥居真樹 / こまちカフェへの訪問をキッカケに、ボランティアとして関わる1児の母。)

皆さまのあたたかいご支援を、心よりお願い申し上げます。
詳細はプロジェクトページをぜひご覧ください。

▽ご支援はこちらから
「恩送りのバトン」をこれからも ~こまちぷらす クラウドファンディング 2026~
https://congrant.com/project/comachiplus/22569