こまちぷらすでは、毎月1回、店舗を閉めてスタッフミーティングを行っていますが、ワークシェアをしていたり事業部によって活動する場所が異なったりと、スタッフ同士でじっくりと話す機会が少ないのが現状です。そこで、普段は顔を合わせることの少ないスタッフ同士でスイッチインタビューを行いました。
第6回目となる今回は、「こまちカフェキャスト」の市川と「でこぼこの会/ただい間のおうち/こよりどうカフェ」の亥埜、「事務局」の上野、のグループです。こまちぷらすでは、部門異動や部門間の掛け持ちをするスタッフが多く、どこかで一緒に仕事をしたことがあるメンバーが増えていくのですが、この3人はこまちぷらすの活動に関わるようになって長いのにずっと部門が違う異なるメンバーです。
話のきっかけとして、「こまちぷらすに関わるようになった理由」から話してもらいました。
■こまちぷらすに関わるようになったのは…
市川)市川です。こまちカフェがまだ東口にあった頃だから、2013年頃からこまちぷらすにいます。赤ちゃん教室で友だちになった人が、こまちカフェで働いていて誘われたのがきっかけです。それ以降、ずっとキャストを担当しています。キッチンも募集していたけど、前の東口の店舗の時は今のようにメニューが固定されていなかったから、「無理かな…」と思って断っていました。
亥埜)メニューが決まっていない時期もあったのね…!そこでキャストでのスタート、以降ずっとキャストなんだね。こまちぷらすでは「この仕事どう?」「この仕事興味ない?」って声をかけられて、部門異動するスタッフが多いけど、ずっと1つのことをやっているのは珍しいことじゃない?
市川)本当にそう思う。声をかけられることもあるけど、面談の時に「私は専任がいてもいいと思ってる」って言っているの。みんな掛け持ちしたり、異動したりしてカフェスタッフも足りなくなってしまうし、だからカフェには専任が絶対いた方がいいと思うんだよね。とはいえ、今はお菓子が一事業になるほど大きくなったけど、コロナより前はカフェでお菓子も作っていたからその延長でお菓子も担当しています。
上野)みほちゃん(市川)の動作はいつも安定しているよね。それが専任のクオリティなのかな。
市川)そう言ってもらえると嬉しい。ありがとうございます!今の店舗がオープンしてから長い間ずっと専任でキャストしていたスタッフの後を継ぐ存在になれていたら嬉しいなって、勝手に思っている。次は亥埜さんお願いします。
亥埜)亥埜です。今の店舗に移るときに加わったので、2014年だと思います。先に関わっていたスタッフが声をかけてくれたんです。「障害のある子どもも来れるカフェにしたいんだけど、相談にのってくれない?」と言われて。行ってみたら、その日はスタッフミーティングの日で、自然と引き込まれたような感じだったけど、話を聞いていて、「この人たちは本気でやる気なんだな」って思いました。「障害のある人も来れるカフェ」って、耳には心地よいけれど、実際は難しいじゃない?だから、当事者や当事者に近い人が実際にメンバーとしているのは大事なことなんじゃないかな、お手伝いできることがあればやろう、と思いました。でも、当時はボランティアで入ってたから、スタッフっていうつもりは全然なかったんです。
市川)今で言ったらパートナーさんみたいな位置づけですか?
亥埜)うん、その時はボランティアとして本当に相談に乗るだけの気持ちだったんだけど、一年くらい経った時に、とことこ(とつかの子育て応援ルームとことこ)のスタッフに欠員が出てスタッフになる打診を受けたから…スタッフになったのはその時かな、と思います。当時は「でこぼこの会」をやっていた人はみんなスタッフではなかったの。イベントをする人たちみたいな感じで。最初の頃は誰がスタッフで、誰がボランティアの人なのか、曖昧だったね。
上野)だいぶ経ってから「あ、亥埜さんは最初はスタッフじゃなかったの?」みたいなイメージだよね。とことこには何年いたんですか?
亥埜)七年やりました。今は「でこぼこの会」と「ただい間のおうち」、こよりどうカフェに週に一回入っています。では次に、かおりん(上野)お願いします。
上野)私は2016年からです。こまちぷらすに関わっていたママ友が、当時こまちぷらすが請け負っていた「まちの魅力紹介」というような記事の執筆を手伝ったのがきっかけです。その時はまだ子ども小さかったしこまちカフェも知らなくて、お手伝いだけのつもりだったんだけど、一年くらい記事の執筆をした後に商店会の記事を書く仕事の打診を受けました。子育てもなかなか大変だったけれど、商店会業務で手が足りないところをサポートするということで関わっていました。商店会のサポートが終わった頃に法人事務局のお話をもらって、今に至ります。
■仕事への想いと子育て
亥埜)みほちゃんはこまちカフェのキャスト専任で、私はあまりこまちカフェに行くことがないから、みほちゃんとお話することがあまりなくて。もっとお話を聞きたいです。
市川)亥埜さんがこよりどうカフェに入ってから余計に会わなくなりましたね。まさかこよりどうカフェに行くと思わなかったから。
亥埜)こよりどうカフェでも多様性の事業をやろうって話が出ていて、週一回くらい多様性の何かができたらいいんじゃないかなって思ったから、こよりどうカフェにも入りませんか?という話を受けたんです。でも、蓋を開けたらキャッチンに配属されていました(笑)。こまちぷらす全体としても、私自身もいろいろなことをやって来ているけど、みほちゃんみたいに同じことをずっとやり続けてるっていうのがすごいなぁって思います。長くなると、飽きちゃったりするのにね。
市川)めっそうもございません。
亥埜) なんかもっとこうしたらいいのに…って、つい手を広げがちだけど、カフェに誰か専任の人がいるって大事だと思うよ。
市川)でも、固執しがち…なんて言うのかな、一ヶ所に留まっているから周りからの情報が入って来づらい分、柔軟性に欠けるみたいな弊害が起きてるかもしれないな、とも思っていて、専任は大事だと思いつつ両面あるのだろうなと思いつつ今に至っています。
亥埜)そういう考え方もあるかもしれないけど、こまちが大事にしているものはこうだよって言い続けてくれる人はやっぱり必要だと思うよ。
上野)そういう存在なんだね。みほちゃん。
市川)うん、そうでありたい。亥埜さんはこよりどうカフェに行くから、とことこを抜けたわけではないんですか?
亥埜)とことこを辞めて、少したってからこよりどうカフェを担当するようになったよ。
市川)そうですよね。一時期、亥埜さんの姿が見えなくて、このまま退職しちゃうのかなって思っていた矢先に、こよりどうカフェに行くって発表があったからすごくびっくりしたんですよ。
上野)みほちゃんの「専任」といい、亥埜さんはとことこのスタッフで「でこぼこの会」で時々こまちカフェに来るってイメージだったけれど、お互い長いのに知らないことがたくさんですね~。
亥埜)かおりんは、記事書くのは好きだったの?仕事でやっていたとか?
上野)いやいや…全然です。かといってカフェをやれるタイプでもなかったから。カフェに来た赤ちゃんを踏んだらどうしようと思っているくらいだから…。二人はやっていることが怖く思うことは無いですか?
市川)うーん。
亥埜) あるのかもしれないんだけど、なんとかなると思ってる。
市川) 亥埜さん、そんな感じがする。
亥埜)いや、自分が何とかするとは思ってないのかも。誰かがなんとかしてくれると思ってるんだと思う。
市川)そんなことないよね。亥埜さんはいつも「大丈夫、大丈夫」って言ってやってくれている。
亥埜)そうかなぁ。 多分一緒に仕事してる人を信頼してるっていうか…一人でやっていたらきっと怖いんだろうなぁと思うけど、チームでやってることだから。
上野)めっちゃいいこと言うね。亥埜さん。
亥埜) だっていっぱい失敗するもんね。日々失敗なくやれているわけではないし。「ごめんなさい」っていうことも毎日山盛りある。でも、もともとそういう性格なのかもね。
上野)子供の頃からそうなの?
亥埜)いや、長女だから規則などが好きな子だった。みんな頑張って努力すればできるはずみたいなタイプだった。
上野)そうなんですね。
亥埜)努力するとか、そういう時代に育ってるからなんだよね。だけど、子どもを産んでから、そういう考え方にシフトチェンジしたのかもね。どんなに自分が頑張っても絶対できないことやどうしようもないことって山ほど出てくるじゃない?そうなった時に、「もうできないんだ」って落ち込むよりは前向きに「もうしょうがない」って手放そうって諦める癖が付いたのかもね。「これでいいや」って。
上野)どうやったら手放せるかな?
亥埜)若い時は葛藤するよね。すごくもがくし、自分の努力かな?とか。世の中がこうだったらいいのに…行政がもっとこうしてくれたらいいのに…ってジタバタみたいなものはやっぱりあるよね。だけど、うまくはいかない。いい意味で諦めることってない?子育てって。
上野)なんか素敵だなぁ。脳内のバランスがすっごい上手なんだと思うんだよね。
亥埜)いやいや、上の子はモラハラ・パワハラで育てちゃったからね。だからこまちに入るとき、子育ての団体に入るっていうのは、もう罪滅ぼしなんだなと思ったもん。上手に育てられなかったなぁっていう後悔みたいなものがあったから、何かに活かせるかなって思ったもんね。
市川)私は発散するのが苦手で頑張り過ぎちゃうタイプかな。だから、子どもが産まれてからママ友とのトラブルの話をいっぱい読んでしまって、却って新しく人間関係を作っていくのが面倒に感じてしまう自分がいて。カフェに仲良さそうなママ友のグループを見ると「すごいなぁ」って尊敬する。
亥埜)そうなんだね。でもそういう人がこまちカフェのキャストやってるってすごくない?
市川)自分でも頑張ってると思う。
亥埜)そういう人がやってるからいいんだね。
上野)プロフェッショナルな感じがするもんね。そのままの自分でいたら、いろんな感情が出てくることがあるだろうし。
市川)お褒めいただきありがとうございます。
亥埜)そういうのは大事だよね。マジョリティの人っていうのかな、ママ友とも仲良くして「今の子育てってこうだよね」っていう大きな流れに乗っている人たちだけが集まってこまちカフェをもしもやっていたら…と思うと、ちょっと危険な所もあるかなって思うのね。だけど、その流れに乗っていはいない人がいるっていう、マイノリティのことをちょっとわかるような人がいるっていうような雰囲気が、こまちぷらすにはあるから。もしかしたらそういう人が訪れやすいんじゃない?
上野)ね。こまちは 団体自体が多様。 人はそれぞれなんだっていうことがわかってる人たちの集まりというか。受け入れの幅が広い人たち、視野を広く持とうとする人たちがいることが、みんなにとって居心地の良さになるんじゃなかろうか。ただ周りからの目が苦しくなる時もあるよね。こまちってキラキラしてるって言われる時とか。実際、本当にみんなを受け入れられる心と頭の持ち主の人たちが集まってるのは確かだって思うんだけど。
■こまちぷらすのミーティングとは…
亥埜)その意味でも、毎月1回スタッフミーティングしているけど、あれがすごく大きいなってずっと思っているの。大事だよね。普通にカフェを運営してたらきっと、そういうみんなの多様性って分からないと思うんだよね。だから、「こまちの目指しているところはここだよね?」「こんな人たちがいて、みんないろいろだよね」っていうことを確認できるミーティングって良い機会だと思う。折りに触れて言ってもらわないとすぐ忘れちゃうような気もするし。どんな人でも何かしんどいことを持ってる。この団体って、そういう人たちの集まりで成り立ってるんだよ。これって社会の縮図だよね?みたいなものをここでなんか表してるんだなっていうのをいつも思わせてくれる。
最初から素晴らしい人たちが集まったっていうよりは、価値観をみんなで忘れないように積み上げてきた感じなのかなと思う。
上野)その通りだよね。私は月に二日ぐらいしか働いていない時も、ミーティングだけは参加してたんです。すごく端っこで。真ん中には入っていけないんだけど、聞いてると心地がいいし、みんなが話してる言葉とか、方法や考え方っていうのかな、話してる内容がすごく好きでした。そのミーティングがあるから、こまちが変わらずに続いているっていうことだよね。今、気づいたよ。
亥埜)私も一緒。最初の一年は私はスタッフじゃないからミーティングは大丈夫ですって感じだったんだけど、大事なことをやってるなってすごく思ったの。
でも一方で、ピアカウンセリングじゃないけど「わかるよ」って共感し合うっていうことも大事なんだけど、そのグループだけでガチッとなるのがすごく苦手。みほちゃんもきっとその怖さが分かるんじゃないかなと思うんだけど…。だから、こまちの中だけでみんな仲良しで外から入りづらいな…と感じていた時期は、こまちが嫌だなって思った時も正直あったんだよね。それが「キラキラしてますね~」っていうようなことなんだと思うんだよね。
上野)言いたかったのはそれです!
亥埜)中がしっかりしてることは大事なんだけど、絶対に外との縁を濃くしないことが大事だなぁと思っています。
市川)最初ってやっぱりこまちがわからないで入ってくる人もいるわけで、だからといってこまちに染めたいわけではない。
亥埜)うん。こまちの外の人が「こまちってなんかいいんだよなあ」っていうところを言語化できない。一見ウェルカムっていう感じでもないけど、いてもしんどくない。
上野)そういうことなのかな。行ったり来たりする距離感を作るというか…
亥埜)いろんな人が関わってみてくれたらいいのになぁと思うの。私がやってたら、私にしかわからないから。他の人もやってみたら、そこからの学びがあるんだけど…ってこともあると思う。
市川)なんかもういいかなっていう感じじゃなくて、次の人にも知ってもらいたいみたいなことだよね。
亥埜)でさ、こまちは継続していきたいから、その人がいなくなったらできなくなるのはいけない。
上野)そういう場所が増えていけばいいんじゃないかな?
亥埜)そうかもしれない。同じメンバーでずっと固定でやってると、決まったものができちゃうでしょ?それってね、本当に十年前にやった時のあの時の気持ちと今の世の中のニーズなどに本当に合ってるのかな?と不安になってくるのよ。私は若いママたちの気持ちがわからないし。だから、とことこの勤務も同じで、若いママにやってほしいって思ってやめたのが理由の一つなんだけど。
上野)オブザーバー的な人はいなきゃいけないし、多世代でいっぱい増えていけばいいんだよね。
市川)これからは次世代の育成だね。とはいえ、話を聞く側としては経験を話してくれるのはありがたいよね。
上野)うんうん、やっぱり多世代だね。次世代を育てるっていうのは本当に大事。
亥埜)そうだね。みんなにも考えてみてもらいたいな、って思ってます。子供も減っていくしね。だから、小さい子のことだけやってるんじゃなくて、その子たちが大きくなっていくにつれて、こまちの事業も広がっていってるけどね。だって子どもたちは育つんだから。子どもたちの中にもいろんな人がいるよね。障害もあるよね。介護も出てくるよね。そうやって広がっていくのは当然のことだから、そこに応じた年齢層の人たちが働いてるっていうのは、当たり前の姿だともちろん思ってるんだけど、時代に合わせていろんなことをやっていかなきゃいけないんだなぁと思って。
いつ来てもこまちだなーって思えるようなあったかさみたいなのはキープしていきたいけど、そこで良しとしてたらダメなわけで、何が足りないんだろう?誰の声を聞いたらいいんだろうとか思った時に、若い人の話を聞かなきゃって思う。もっと若いママたちの関わりしろみたいなのを増やせばいいのかもしれないんだけどね。

