代表挨拶

理事長 森 祐美子

2012年に「こまちぷらす」を立ち上げる前、冬の夜に子どもたちが寝静まった後、この団体の「名前」をどうするかということを毎晩毎晩悩んだのを思い出します。

散々悩んだ結果、子育てが「まちの力」でプラスになる、そこで生まれるコラボレーションでまちがプラスになる、その過程でこまち(母・女性)の力がまちのプラスになる、その循環をつくりたい、と思い最終的にこの「こまちぷらす」という名前に決めました。

というのも、私自身出産直後に大きな幸せと、同時に社会からの隔絶感、似た境遇の人と同様な感覚を共有できない孤独感、何かぽっかり穴があいたような感覚、、、この得体の知れない感覚からどう脱したらよいのか分からない日々を過ごしたからです。

この感情が何なのかが自分自身で分からないから、ネットで検索するキーワードから何を打ったらよいかわからなかったのを思い出します。

その状況から抜け出せたのは、幾つかの偶然やタイミングが重なり、本当に素敵な「まち」の人たちと機会に奇跡的に出会えたことでした。

出発点は、家庭訪問をしてくれた保健師さんが置いて行ってくれた1枚のチラシでした。そのチラシには「この地域に子育ての拠点をつくるので意見を出す市民を募集します」という文字が書いてあり、そこへ応募し、その拠点をつくるための会議に定期的に参加するようになりました。

その中で「今困っていることを話せる時間を定期的にもてたこと」、「悩んでいるのは自分一人じゃくて、課題は自分自身の中だけでなく社会の構造にもあることが分かったこと」「いろんな人に子どもを抱っこしてもらえて、一人で頑張らなくてもいいと思えたこと」、「20-60代まで多世代の人たちと出会えたこと」、、、と様々な機会に恵まれ、結果的に、毎日の子育てが本当に楽しくなっていきました。

こまちぷらすでは、こういう場が「偶然」の重なりや奇跡的にどこかから降ってくるのを待つものにするのではなく、仕組みとしてつくっていきたいと思っています。

いわゆる「支援」とは少し違うのかもしれません。好きな場所や気を許せる人に出会えたり、自分の力が発揮できたり、そのうち、課題そのものはなくならなくとも、課題と感じなくなっている。

課題はいつしかアイディアが生れる源となって、いろんなまちの職業や立場の人たちで一緒に頭を突き合せて、わいわい話し合うようになっている。子どもたちはそんな大人たちを見て「大人になるって面白そう!」って思うようになる。

そんな状況を小さな「カフェ」のような近所の場から小さく産んで、いつの間にかそんな循環が世界中の「近所のカフェ」のような場で広がっていたらいいなと夢見ています。

こまちぷらすにここまで関わってきてくださったたくさん方、今関わっているスタッフやこまちパートナーの方々ボランティアさん、みんなそれぞれの「物語」があります。

その一人一人が感じてきた課題がいつの間にか課題でなくなっていたり、今もまだ向き合っていたり、事業やプロジェクトになったり、まだ形になってなくとも次を生み出すエネルギーになっています。

是非その一人一人の物語をこのホームページからたくさん感じ取っていただき、カフェやプロジェクトの現場に会いにきてください。こまちぷらすの活動は、この一人一人が原点にあるんだなということを感じていただけると思います。そして、同じようにこんな社会をつくりたいと思って共感してくださった皆さんと、昨日より今日、今日より明日、子育ての環境が「プラス」になることを一緒につくっていきたいと思います。