2月に厚労省主催の研修で登壇機会をいただきました。
全国の重層的支援体制整備事業に携わっている自治体職員の方々向けに40分ほどお話をした後、本事業研修に関わっている委員の方々との贅沢な対談の機会がありました。
一人の委員の方よりこまちぷらすのデザインについて分析してお話をいただきました。デザインというと、デザイン性とかお洒落さとかそういう風なことをイメージしますがそういう話ではなく、関わりのデザインのことでした。点ではなく線だったり距離感だったり。デザインは善し悪しではなく、その人にとっての心地よさや『当事者にとっての相応しさ』でなされるということなど教えていただき、対談の中で私が研修を受けてきたような感覚になって帰ってきました。
この重層的支援体制整備事業ってなんだ?
この重層的支援体制整備事業ってなんだ?というところですが、今回研修実施にあたって改めていろいろとこれらのホームページ読み込んだのですが、すごく乱暴にざっくり書くと、
『日本の福祉制度は、子どもとか障がい者とか高齢者といったような『属性』やリスクごとに制度をつくってきた。支援の体制をつくってきた。でも、課題ごとの支援・対応をするということへの限界がきているそもそも課題から出発して、属性とリスクでその人を見ていくことそのものが違うというところから出発して考える。典型的なニーズに応えるための仕組みであればニーズを満たすための現金現物給付設計することも容易だけどそれでは、困難や生きづらさは変わることはない。そこで、ワンストップの相談支援やそれだけではなく住民同士が関わり合う関係性を育むための地域づくりへの支援を重視したことを後押しをしていく。関係性構築支援と支援者による相談支援との両輪+『参加支援』という3つの車輪を骨格とする。』というような内容です。
ニーズに対する「支援」を政策の縦の軸で考えるのではなく、一人の人の「やりたいこと」「願い」を中心に円を描くように分野ジャンル立場を超えた地域づくりを支える事業というところでしょうか。
政府主導でそうした事業が更に広がるように後押ししようということになってきているということですが、一人のひとに焦点をあてて自治体が分野窓口超えてどう動くかと考えるその「考え方/動き方の転換」が大変そうだなということも参加者の皆さんのお話を聞きながら感じました。
もう少し分かりやすいイメージで
厚労省が本事業を軸に発信しているnoteには、角打ちスタンドを運営する酒屋さん(民生委員でも保護司でもある)の話等が紹介されています。
NPO、地域の商店さん、散髪屋さんやカフェ、いろんなところがそんな動きは既にしているので、民間の事例だと分かりやすいですね。越境してつながりやすい、参加したくなる環境づくりをどうさらに後押ししていけるか考えていきましょうということでしょう。
以前こまちぷらすも研究事業でご一緒した東京都市大の室田信一先生も当日座長的にいらして、この研修でも様々な資料をアップされていますが(たとえばこちらに)そこにアップされていた資料で分かりやすい図で描かれていました。
このCがとても大事だということですね。大変共感できます。
越境するのも参加しやすい環境づくりもそこに住んでいる人たちや組織であればスタッフ一人一人の話。こじんまりよく知っている仲間だけで阿吽の呼吸でやりたくなるところ、どうそれをたくさんの人が参加したくなる「場にしたい」と発想を転換していくか。越境しなくてもなんとかなると思っているところ、越境する必然性を一人一人がどう感じるか。
結局はそうした環境整備は、いきつくところは終わりのない対話と人材育成のことなんだろうと思います。