【対談録】クラウドファンディング記念対談   ~非営利株式会社eumo代表取締役 新井和宏氏× こまちぷらす森~《後編》

こまちぷらすでは、8/25(金)よりクラウドファンディングがスタートし、クラウドファンディング対談企画の初回ゲストは 非営利株式会社eumo代表取締役の新井和宏氏にお越しいただきました。

*前編はこちら


■間のデザインで大事にしていること

森:新井さんのご著書に「間(あいだ)」という言葉がよく出てきますが、間をデザインするときに大事にしていることってありますか?

新井:人と人との関係の中においては、「間」が重要なんですよ。その人とその人についてフォーカスをするということではなくて、お互いに何かをしようとしている中で、そのこと自体にフォーカスを当てれば良いのです。でも、その人に対してみたときに、どうしても、ある種いろんな問題が生じるのです。

森:どういうことでしょうか?

新井:例えばですが、「お互いで実現したい何か」にフォーカスを当てているときは、人の関係性は良い状態なんです。それをやる「あなた」にフォーカスを当てた途端に、文句が出始めるんですよ(笑)

森:なるほど(笑)

新井:相手自身にベクトルが向くと、人を攻撃してしまったり、非難したりしてしまう。もしかすると、「間」の重要性を理解することは、若い頃には難しいのかもしれませんね。

もう一つ、もう少し分かりやすい例を話します。

一番僕が「間」を感じているのは、株式会社ボーダレス・ジャパンさんと話していた時のことです。社会課題を解決したいと言ったときに、彼らはその課題を解決するためのビジネスモデルに対して、徹底的に磨き上げるんですよ。その時に、相手を攻撃するのではなく、あくまでも、そのやりたい人が実現したい、解決したい課題に対して、徹底的に喧々諤々と議論をするんです。それは、あなたの夢を実現させるために応援していること、とも言えるわけです。

そうすると、対立軸にならないんです。どんなに厳しい言葉を言われたとしても。

だから、対象がずれるんです。対象をずらしていくということは、「間」の一つです。結局、人と人とのあいだに「間」がある。その「間」で何をつくるかということ自体が、コミュニケーションの基本である、と僕は思っています。つまり、対象を相手に向けないということです。

森:なるほど。先程、一緒にいて居心地よいからそこに足が向くし、より良いものをつくりたくなる、という話がありました。その話でもそうでしたが、あいだに何か、「ミディアム」がありますね。私たちのカフェの場合には「食べもの」があります。もしくは、何か相手が何か抱えている課題があったとして、そこに直接関わるのももちろんよいですが、間に違うもの挟んで「一緒に創る」。例えば、「今度お祭りがあるから、一緒にやろう」と誘ったとして、そうすると、祭りの掃除をしながら話をしたり、一緒にやっているうちに、「この課題を抱えているのは私だけじゃない」と思えたり、思いもしなかったところにヒント、発見があるということがあるのかもしれないですね。課題そのものが解決しなくても、そういうのが大事だなと思うことがあります。

■こまちぷらすは現代の「原っぱ」

新井:そうですね。あともう一つ、「間」というのは、ぶつからないための緩衝材でもあるんです。縄文時代の「原」の概念と同じだと思うんです。「原っぱ」の語源になりますよね。要するに、自然と人間とのあいだに「原」という概念がある。そのおかげで、ぶつからずに済んだということです。「原」は誰かの所有という概念がないのです。所有から解放された場所として存在していた。

でも、境界線を引いてお互いの所有を持つこと、人の関係性で言い換えればパーソナルスペースを侵した瞬間に、争うわけじゃないですか。

森:そうですね。

新井:一方、原っぱは誰のものか分からないから、争いが起こらない。つまり緩衝的な場が「間」だと思っています。でも、その「間」がどんどんと失われている時代になってしまった。所有の概念が広がっていること、自助と公助で切り分けること、それによってギスギスしてしまいます。ギスギスするというのは、人間関係の話ですよね。そして、そこに「間」は存在しない。だから、「間」が存在することは、生きやすくするうえでとても重要であることを、お伝えしたいですね。

森:一つの尺度のような分かりやすいことで比較をしたり、境界線を引くことの方が、一旦咀嚼はしやすいですが、そのあいだにあるものは、あいまいで分かりづらい。でも、その分かりづらいものをお互いの真ん中に置くということですね。

新井:そうそう!そこに吸収をしてくれる優しさがあるんですよ。

森:なるほど。私たちがみなさんとつくろうとしているのは、まさにそういう「間」となるような出会える場、つくれる場だと思いました。それがすごく身近なところに、誰にとってもアクセスしやすいところにあって、選ぶことに困るくらいある状態を目指したい。

新井:そうそう!こまちぷらすは現代の「原っぱ」です。

森:原っぱですね!なるほど~!まだまだ、新井さんとお話ししたいことはたくさんあるのですが、残念ながらそろそろお時間になってきました。。。

■新井さんからの応援メッセージ

森:最後に新井さん、こまちぷらすに向けて、応援メッセージをいただけないでしょうか?

新井:はい!分かりやすいことは確かにみなさんにとって関わりやすいことかもしれないですね。こまちぷらすの活動を、僕は素晴らしいものが生まれてきていると思っています。だからこそ、関わってほしいのです。リアルで体験してみてほしいのです。それによって、得られる何かを見た瞬間に、みなさん自身が変わっていくと思うんです。今日の話に出ていた「間」の部分をリアルに体験していただけたら嬉しいです。

森:新井さん、本当に、ありがとうございました!


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